1.原発性骨粗鬆症のガイドラインにおける骨塩量評価(骨密度測定)の位置づけ
骨量とは,骨基質(コラーゲンなど)と骨塩(カルシウムなどのミネラル)の総量を指し,骨塩量とは,骨中ミネラルの総量を指す.骨密度は,骨サイズの影響を除外するために算出されるもので,DXA法では骨塩量を骨面積(cm2)で除した値として示される.厳密には,これら骨量,骨塩量,骨密度は異なるものを指す言葉ではあるが,ほぼ同義として用いられることも多い.
現在わが国で用いられている「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版」では,原発性骨粗鬆症の診断に際し,骨密度測定は重要な役割を果たしている.しかし骨粗鬆症は,「骨強度の低下を特徴とし,骨折のリスクが増大しやすくなる骨格疾患」であり,必ずしも骨密度だけで診断されるものではない.例えば,脆弱性骨折の既往のうち椎体骨折や大腿骨近位部骨折では,その後の骨粗鬆症性骨折の発生リス