診療支援
治療

骨塩定量法
Bone mineral measurement
山本 憲男
(金沢大学大学院 特任教授)

1.原発性骨粗鬆症のガイドラインにおける骨塩量評価(骨密度測定)の位置づけ

 骨量とは,骨基質(コラーゲンなど)と骨塩(カルシウムなどのミネラル)の総量を指し,骨塩量とは,骨中ミネラルの総量を指す.骨密度は,骨サイズの影響を除外するために算出されるもので,DXA法では骨塩量を骨面積(cm2)で除した値として示される.厳密には,これら骨量,骨塩量,骨密度は異なるものを指す言葉ではあるが,ほぼ同義として用いられることも多い.

 現在わが国で用いられている「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版」では,原発性骨粗鬆症の診断に際し,骨密度測定は重要な役割を果たしている.しかし骨粗鬆症は,「骨強度の低下を特徴とし,骨折のリスクが増大しやすくなる骨格疾患」であり,必ずしも骨密度だけで診断されるものではない.例えば,脆弱性骨折の既往のうち椎体骨折や大腿骨近位部骨折では,その後の骨粗鬆症性骨折の発生リスクが有意に高く,骨密度の値にかかわらず,その既往のあるものは骨粗鬆症と診断される.またその他の脆弱性骨折においても,その後の骨折リスクが上昇することから,これら骨折の既往があった場合には,骨密度が若年成人平均値(YAM)の80%未満であれば,骨粗鬆症と診断される.骨密度がYAMの70%以下または-2.5SD以下で骨粗鬆症と診断されるのは,脆弱性骨折の既往のない場合であることに注意する必要がある.

 また,骨密度評価についてこのガイドラインでは,

・骨密度評価には,原則として腰椎または大腿骨近位部骨密度を用いること

・複数部位で測定した場合には,より低い%値またはSD値を採用すること

・腰椎においては,L1~4またはL2~4を基準値とすること

・ただし高齢者において,脊椎変形などのために腰椎骨密度の測定が困難な場合には,大腿骨近位部骨密度を用いること

・大腿骨近位部骨密度では,頚部またはtotal hi

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