診療支援
治療

超音波ガイド下伝達麻酔
Ultrasound-guided block anesthesia
仲西 康顕
(奈良県立医科大学 講師)

【概説】

 伝達麻酔は,末梢神経をターゲットとして局所麻酔薬を注入することにより,末梢神経の支配領域に対して区域的な鎮痛を得る方法であり,上肢や下肢の手術における麻酔方法の選択肢の1つとなる.また,全身麻酔との併用や術後鎮痛としても用いられる.

 超音波ガイド下伝達麻酔は,ターゲットとする神経,針の位置,注入する局所麻酔薬の広がり方をリアルタイムに超音波で確認することができるため,触診による穿刺と薬液の注入に比べて安全性と確実性に優れている.

【使用する薬剤と機材】

 長時間作用型局所麻酔薬である,ロピバカイン(アナペイン®)や,レボブピバカイン(ポプスカイン®)が使用しやすい.これらは,心毒性を生じにくいように開発された局所麻酔薬であるが,過量投与により心停止をきたす例も過去に報告されているため,極量には十分注意して使用する必要がある.体重あたりの使用量として,3mg/kgが1つの目安であり,例えば50kgの成人に対しては伝達麻酔施行時,および局所麻酔薬の効果不十分時には最大150mgを上限とすることを意識しなければならない.

 超音波診断装置は,基本的にリニアプローブで高周波(12MHz以上)のプローブを使用する.正確にブロックするためには神経を確実に描出することが必要であるが,近年の超音波診断装置の機能向上によって,画像の質は飛躍的に進歩しており,できるだけ高性能機材を使用することが望ましい.

 穿刺針は,筆者らは正確に組織の間に針を進めることを目的として,23Gカテラン針(鋭針)を使用している.鈍針が用いられている施設も多い.針は必ず延長チューブでシリンジと接続する.薬剤の注入は,針やプローブの操作を行う者とは異なる介助者が,延長チューブ内に血液の逆流がないか確認しながら少量ずつ行うことで,繊細な穿刺針の操作ができ,血管内への局所麻酔薬の誤投与を避けることができる.


手技

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