診療支援
治療

インフォームド・コンセント
Informed consent
大川 淳
(東京医科歯科大学大学院 教授)

 整形外科領域の治療手段の中心である手術だけでなく,脊髄造影などの侵襲的検査も含めて,文書によるインフォームド・コンセント(以下IC)を取得する時代になった.保存療法で文書による同意が取得されることはまだ一般的とはいえないが,治療を契約ととらえるとすれば,本来的にはICが必要なのかもしれない.本項では,整形外科領域におけるICの留意点について述べる.


1.ICの意義

 ICは,医療行為が本来患者の身体への侵襲を伴う傷害行為であるため,その違法性を阻却するために必要と考えられている.加えて,患者の自己決定権を個人の人格権の一部として認め,それを保障する仕組みでもある.つまり,医療は,医師が患者にとって最適であると考える医療行為を提供するというヒポクラテス時代の父権主義(パターナリズム)から,患者自身が情報を得て主体的に医療行為を選択する,という考え方に変わった.医療者としても,ICを仕方なく取得

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?