疾患の重症度や機能障害の程度などといった患者の臨床的状況を,治療前後で評価することは重要である.これまでに数多くの臨床評価基準が各種整形外科疾患に対して考案され報告されているが,1980年代以前の評価基準は,ほとんどが医療者側からみた客観的な指標で構成されていた.しかしながら,疼痛に代表される主観的な指標は患者の感覚や感情に左右されるものであるため,医療者側からの測定や評価が必ずしも実際を反映しているとはいいがたい.また治療に対する患者の満足度は,患者の主観によって決まるものであるため,医療者目線の客観的な評価が患者の満足度と一致しないことは決して珍しくない.
そこで近年では,医療者目線の客観的な指標に加え,患者目線の主観的な指標,すなわち患者立脚型の臨床評価基準でも病状や治療効果を評価する必要があると考えられるようになった.骨折治療を例に挙げると,治療が奏効したかどうかは,医療者目線で