【疾患概念】
上肢,下肢,殿部などボリュームのある筋肉が長時間にわたって重量物などに圧迫され,救助によって圧迫が解除された際に急激な循環不全や代謝異常をきたす,局所的あるいは全身的な症候群である.そのため地震や戦争,労働災害,交通外傷といった特殊な状況下での報告がほとんどである.長時間の圧迫により虚血や骨格筋の細胞障害で生じた組織液・血液が,圧迫の解除により再潅流されるために生じる.急激に四肢の腫脹をきたすとともに,全身の循環障害・血圧低下が生じる.前腕や下腿では,極度の腫脹によってコンパートメント症候群を併発することがある.
【病態】
圧迫部位の筋細胞の細胞膜が障害され,筋細胞内に大量に含有するクレアチンキナーゼ(CK),ミオグロビン,カリウム(K)が流出する.圧迫が解除されて損傷を受けた組織に流入した血液中の水分は,血管内皮障害のため急速に血管外へ漏出して,急激に四肢の腫脹をきたすととも
関連リンク
- 治療薬マニュアル2024/生理食塩液《生理食塩液》
- 治療薬マニュアル2024/炭酸水素ナトリウム《炭酸水素ナトリウム 炭酸水素Na メイロン》
- 今日の救急治療指針 第2版/急性動脈閉塞症
- 今日の救急治療指針 第2版/広範囲挫滅損傷(クラッシュ症候群)
- 今日の救急治療指針 第2版/電撃傷
- 今日の救急治療指針 第2版/コンパートメント内圧測定,減張切開
- 内科診断学 第4版/ショック
- 新臨床内科学 第10版/【5】ショック
- 今日の整形外科治療指針 第8版/血管損傷総論
- 今日の整形外科治療指針 第8版/区画症候群(コンパートメント症候群)
- 令和6年 医科診療報酬点数/D221-2 筋肉コンパートメント内圧測定
- 今日の診断指針 第8版/圧挫症候群(クラッシュ症候群)