診療支援
治療

圧挫症候群
Crush syndrome
當銘 保則
(琉球大学大学院 准教授)

【疾患概念】

 上肢,下肢,殿部などボリュームのある筋肉が長時間にわたって重量物などに圧迫され,救助によって圧迫が解除された際に急激な循環不全や代謝異常をきたす,局所的あるいは全身的な症候群である.そのため地震や戦争,労働災害,交通外傷といった特殊な状況下での報告がほとんどである.長時間の圧迫により虚血や骨格筋の細胞障害で生じた組織液・血液が,圧迫の解除により再潅流されるために生じる.急激に四肢の腫脹をきたすとともに,全身の循環障害・血圧低下が生じる.前腕や下腿では,極度の腫脹によってコンパートメント症候群を併発することがある.

【病態】

 圧迫部位の筋細胞の細胞膜が障害され,筋細胞内に大量に含有するクレアチンキナーゼ(CK),ミオグロビン,カリウム(K)が流出する.圧迫が解除されて損傷を受けた組織に流入した血液中の水分は,血管内皮障害のため急速に血管外へ漏出して,急激に四肢の腫脹をきたすととも

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