【疾患概念】
高齢者の骨折は骨粗鬆症などによる骨の脆弱性を基盤に,転倒などによる低エネルギー外傷や,交通事故などによる高エネルギー外傷によって生じる.低エネルギー外傷による脆弱性骨折は,機能予後を考慮して早期手術が要求され,高エネルギー外傷による骨折では,易出血性や予備能力低下から生命の危機に直面することもあり,慎重な全身管理が要求される.人口の高齢化に伴い,高齢者の骨折数は今後さらに増加すると思われる.大腿骨近位部骨折は2030年には年間30万人,脆弱性骨盤輪骨折は現在の2.4倍に増加すると予測されている.また,高齢者は既往症や合併症も多く,多剤服用していることも多いため,治療にあたり整形外科単科では対応困難で,老年内科医や看護師,薬剤師,理学療法士など,多職種連携による治療が必要となる.
【病態】
高齢者の骨は易骨折性で,その原因には骨自体の脆弱性と転倒リスクなどの要因がある.
(1)骨脆