【疾患概念】
関節内骨折とは,骨折線が関節包内に及ぶ骨折である.脱臼骨折とは,関節脱臼に伴い,関節包内もしくは関節近傍に骨折が生じたものである.両骨折ともに比較的強い外力により生じ,関節内骨折では軟骨損傷を,脱臼骨折では軟骨損傷に加え靱帯や腱を含む周囲軟部組織損傷や血管神経損傷を伴うこともあり,関節拘縮や不安定性が残存しやすい.治療に際しては早期に解剖学的整復・固定・リハビリテーションを行い,機能障害をできる限り少なくすることが重要である.
問診で聞くべきこと
受傷機転について詳細に聴取し,骨折・脱臼の機序を理解することが治療方針の決定に必須である.それと同時に受傷前の患肢の機能や就労の状況,患者の治療に対する期待を聴くことが機能回復レベルの目標を決めるうえで重要となる.また画像検査や処置の前には皮膚損傷(裂創や水疱)や感覚障害,冷感といった神経血管障害の有無を確認し,症状がある場合にはそれがどの時点から生じていたか(受傷直後,搬送中,脱臼整復の前か後かなど)も聴取し,可能な限り詳細に診療録に記載しておくことが大切である.
必要な検査とその所見
①関節穿刺:穿刺した血性液に脂肪滴が存在することは関節内骨折を示唆する重要な所見である.
②単純X線検査:関節内骨折,脱臼骨折いずれにおいても第一に行う画像検査である.各関節において患側・健側とも正面・側面の2方向が基本であり,健側と比較することで正確な診断が可能となる.
③超音波検査:関節内血腫の有無,受傷時および整復後の骨折部の転位評価に加え,仮骨形成や骨折部の安定性の評価など治癒過程の評価も可能である.
④CT(3D-CT)検査:単純X線検査で評価が困難な関節内骨折の有無や骨片の転位・位置関係の評価が可能である.3D-CTは骨片の位置を立体的にとらえることが可能であり,関節内骨折の手術計画に非常に役立つ.
⑤MRI検査:関節内外の