【概説】
創外固定法は,骨片をピンポイントに固定し皮膚外のフレームで支えるため,低侵襲な治療法である.プレートや髄内釘による内固定を行うまでの一時的な固定として使用されることが一般的だが,確定的な固定としてリング型創外固定器が選択されることもある.
【適応】
多発外傷で全身状態が悪くそれ以上のダメージを避けるべき場合や,開放骨折,圧挫などの受傷により局所のダメージと腫脹が強く,内固定法では創閉鎖が困難となる場合に,骨折部の安定化と軟部組織の改善を目的に一時的な創外固定を用いることが多い.また,骨盤輪骨折では大量出血がある場合,止血目的に用いられる.
ほかに,高齢者の下肢骨折で早期荷重を目指す場合や,関節内骨折や強い粉砕を伴う骨折の場合,確定的な固定としてリング型創外固定器を用いることがある.また,骨折の合併症として,変形治癒に対する緩徐矯正や,化膿性偽関節に対して感染巣を避け固定を行う場合にもリング型が用いられる.
【創外固定器の種類】
(1)モジュラー型
創外固定ピンで固定した骨片のモジュール(module,基本単位)を,X線透過性の高いカーボンファイバー製のバー(チューブ)で連結する.複数のメーカーからキット製品が発売されており,外傷患者の多い病院では常に院内に備えてあるだろう.重度外傷では緊急手術までに十分な時間が確保できないおそれがあるため,あらかじめ部位別での使用法について把握しておきたい.一時的な仮固定として使用し,単独で確定的な固定とすることは通常ない.
(2)リング型
創外固定ピンを多く使用して受傷肢を包み込むように固定できるため,モジュラー型よりも強い固定力を有する.ナットの操作による牽引とそれによる整復(ligamentotaxis),早期荷重を可能とし,膝関節・下腿・足関節周囲の粉砕骨折や,高齢者の骨折に対して有用である.リング型のなかにはヘキサポッド型があり