診療支援
治療

スポーツ競技者の診療で考慮すべきこと
Essential consideration when examining athletes
石橋 恭之
(弘前大学大学院 教授)

 外傷と障害の治療において,スポーツ選手と一般の患者との間に本質的な差違はない.しかしスポーツ競技者は,できるだけ早期に,かつ高いレベルで復帰することが常に求められている.さらに,スポーツ外傷の場合には再受傷予防が,障害の場合には再発予防が重要である.そのためには,競技者の身体的特性の評価に加え,各競技種目において要求される動作や身体負荷など,スポーツそのものに関する知識が必要となる.治療に入る前に,各種治療の意義,トレーニングの指導,また復帰の道筋を示すことも必要である.競技復帰にあたっては,可動域訓練・筋力訓練などのメディカルリハビリテーションに加え,競技種目に即したアスレチックリハビリテーションやコンディショニングを行い,監督・コーチ・トレーナーなどと相談して復帰のタイミングを決めていかなければならない(図3-1).


1.背景を理解する

 スポーツ外傷・障害を適切に診断し治療するために

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