スポーツによる内科的障害には急性障害と慢性障害がある(表3-2図).以下に代表的なものについて概説する.
1.急性障害
【1】突然死
世界保健機関(World Health Organization;WHO)では,突然死を「発症から24時間以内の予期せぬ内因性(病)死」と定義しており,そのなかで心臓突然死は,急性の症状が発症したのち,1時間以内に突然意識喪失をきたす心臓に起因する内因死とされる.
日本スポーツ振興センターの近年のデータでは,学校の管理下の死亡総数は年間70件台,その50~60%が突然死,さらに心臓突然死はその45.7~80.0%を占めている.運動中・運動後の突然死の発生については,中学校および高等学校で約60%,また男子において発生割合が高くなっており,高校2年生以降の運動内容の変化に注意する必要がある.死亡原因のうち後天性心疾患で多い大動脈解離は,運動中に発症する比率が高く