【概説】
スポーツ活動の実施に際しては,起こりうる外傷や障害に対して,事前のメディカルチェックの実施などによって,最大限の予防に努める必要があるが,それでもスポーツ活動の現場では,ある程度の数の外傷や障害が発生しているのが実情である.国際オリンピック委員会(IOC)の医事委員会による,夏季オリンピック競技の外傷・疾病調査では,競技期間中の外傷発生率は8~10%程度ともいわれている.
スポーツが広く人々に普及していくためには,①スポーツが身体の健康にもたらす陽性効果の実証と,②安全に実施可能な環境の確立,さらには③万が一,外傷や障害が発生しても適切な処置と治療によって,スポーツからの離脱を最小限にとどめ,再開意欲を損なわないための配慮が重要といえる.スポーツによる外傷や障害を契機に,治癒後も永遠にスポーツから離れてしまうという事態は避けなければならない.そのためには,外傷や障害発生時には,受