【疾患概念】
上腕骨は近位部で肩関節を構成し,投球動作による障害や衝突にさらされる.遠位部では肘関節を構成しており,上肢全体のねじり動作にもさらされる.
(1)上腕骨近位骨端線離開
上腕骨近位部の骨端線が存在する10~15歳程度の成長期に,投球動作によって同部にねじれと牽引力が加わり,骨端線が離開する.投球時の疼痛が主要症状で,投球休止ですみやかに痛みは軽快するが,左右を比較した単純X線での異常所見が消失する以前に投球を再開すると,疼痛も再燃する.これを不用意に繰り返すと,成長軟骨障害から上肢長の左右差を生じる.
(2)上腕二頭筋長頭腱炎
上腕二頭筋長頭腱が徐々に変性を起こして腱線維がほつれ,癒着や腱の線維化が起こる.上腕二頭筋長頭腱の結節間溝内の腱鞘に水腫をきたし,腱の滑走が妨げられる.関節面前面の痛み,上腕内側の痛みをきたす.
(3)上腕二頭筋長頭腱断裂
1回の強力な牽引でも断裂しうる.パラ