【疾患概念】
スポーツ種目に特有の外力が肘関節にかかり生じる傷害である.コンタクトスポーツなどにより肘関節に直逹外力がかかり生じる骨折や靱帯損傷などの外傷と,競技種目に特有の動作による繰り返しのストレスで生じる慢性障害に大別される.前者はスポーツ競技による特異性はなく,一般外傷に準じた治療が行われる.慢性障害については,肘関節周辺の骨端線は成長期に閉じるため,成長期のスポーツによる傷害は遺残すると成人期に変形性関節症に進行していく可能性もあり,予防,早期診断および的確な治療が重要である.
【病態】
競技種目としては,外傷を除くと野球やテニスなどのオーバーヘッドスローのスポーツに多いが,なかでも競技人口の多さから野球が最も多い.投球・投擲競技においては,投球動作により肘にかかる外反ストレスや伸展ストレスの繰り返しにより傷害が生じる.これらは野球肘と総称される.成人期の傷害は靱帯や変形性関節症で