【疾患概念】
スポーツ損傷は,スポーツ外傷とスポーツ障害に大別される.スポーツ外傷は急激な外力が加わることによって生じる骨折や脱臼などが含まれ,頚部の外傷は発生してしまうと選手生命が絶たれる危険性もあり,初期対応はもちろんその発生予防が重要である.
【頻度】
スポーツ安全協会・日本体育協会が発行する『スポーツ外傷・障害予防ガイドブック』によれば,全体の傾向として脳振盪を含む頭頚部の外傷は約10%にみられ,年齢別では未就学児(0~6歳)においては頭頚部が最も多く,特にラグビーにおいては他のスポーツに比べ頭頚部や肩・上腕における外傷の発生頻度が高いとされている.
【病型】
注意すべきスポーツによる頚部の外傷・障害として,頚椎・頚髄損傷,頚椎捻挫,Burner症候群,頚椎椎間板ヘルニア,頚椎症性神経根症などが挙げられる.
問診で聞くべきこと
競技の種類,ポジション,競技歴,受傷機転,意識消失の有無,外傷発生時間,疼痛部位,しびれなどの感覚障害部位,スポーツ障害においてはこれに加え過去の外傷歴,症状出現時期や経過,症状誘発および増悪動作などが診察・治療に必要な情報となる.家族,監督,コーチ,トレーナー,チームメイトなどから情報を得ることも重要である.
診断のポイント
頭部外傷の合併や頚椎・頚髄損傷は,早期診断および初期治療が大変重要であり,高次医療機関への搬送判断が求められる.意識障害・脳神経症状・頭痛・嘔気嘔吐・頚部痛・上下肢の麻痺や感覚障害の有無が診断のポイントとなる.頚部のスポーツ障害に関しては,頚肩腕部痛部位およびその誘発動作,可動域制限とその方向,上肢放散痛部位,上下肢体幹の感覚障害部位,上下肢筋力低下部位,上下肢腱反射・病的反射の有無を確認することで診断し,各種画像検査で確定を行う.頚椎捻挫や頚椎椎間板ヘルニアなどと思われるスポーツ損傷のなかには,頚髄中心性損傷・頚椎損傷や不安
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