【概説】
大腿・膝・下腿部は,「走る」「跳ぶ」「蹴る」といったスポーツ活動で繰り返し外力が加わるため,さまざまな外傷・障害が発生する.障害は一定の動作を繰り返すことで慢性的に起こるもので,外傷は明らかな受傷機転がある“けが”をいう.
障害の代表的疾患を各部位別に挙げる.大腿部では大腿骨疲労骨折,大転子部滑液包炎,膝関節では腸脛靱帯炎,分裂膝蓋骨,Osgood-Schlatter病,鵞足炎,離断性骨軟骨炎,さらには膝関節外傷に起因する二次性変形性膝関節症,下腿部では脛骨・腓骨の疲労骨折,シンスプリント,慢性下腿コンパートメント症候群などがある.一方,外傷は大腿・下腿部では筋挫傷,肉ばなれ,膝関節では靱帯損傷,半月板損傷,関節内骨折,関節軟骨損傷などがある.いずれも正確な診断のもとに適切な治療が行われないとスポーツ復帰が困難となり,競技スポーツでは選手生命を脅かす事態にもなる.本項では重複を避