【疾患概念】
開放骨折の治療中に,骨折部に細菌感染を生じた状態である.起炎菌としては,黄色ブドウ球菌が多い.開放骨折は,感染に対するバリアである皮膚・軟部組織に損傷を伴うため,感染リスクが高い.骨折後に骨髄炎を生じると,骨癒合しないため感染性偽関節となる.治療は,感染の鎮静化と骨・軟部組織再建が必要であり難治性疾患である(「皮膚や骨欠損を伴う骨髄炎」の項→を参照).
【頻度】
開放骨折全体の約10%,Gustilo typeⅢBおよびⅢCでは15~45%程度に骨髄炎を発症する.
問診で聞くべきこと
糖尿病,腎臓病,肝硬変,膠原病,ステロイド内服など,易感染性の原因となる併存症を問診する.
診断のポイント
①起炎菌の同定と感染範囲の把握:培養検査で起炎菌を同定して,抗菌薬の感受性を検索する.培養検体は,できるだけ深層から採取する.瘻孔など表層からスワブで採取した培養検体の信頼性は著しく低い.
②骨髄炎に対する画像検索:単純X線写真,CT画像,MRI,骨シンチグラフィー,白血球シンチグラフィー,PETなどがある.感度・特異度ともにPETが最も優秀であるが,保険適応はない.
専門病院へのコンサルテーション
整形外傷手術を多く行っている施設へ紹介する.骨髄炎の治療を多く行っている専門施設へコンサルトできるとよいが,そのような施設は少ない.
治療方針
抗菌薬の長期投与で治癒できる場合もあるがまれであり,通常は手術療法を要する.治療は,感染の鎮静化と骨軟部組織の再建を行う.
【1】感染の鎮静化
(1)デブリドマン
血行のない組織の外科的切除(デブリドマン)を行う.デブリドマンの範囲は,画像検査に基づいておおむね決めておくが,最終的には術中の肉眼所見で評価して確定する.血行がないと判断した組織は可能な限り切除する.骨表面から点状出血がない部分は,壊死骨と判断し原則として切除する.深層から検体を採取して
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