【疾患概念】
骨折に対する内固定術においては,主にプレート,髄内釘,スクリュー,鋼線といった金属製の内固定材料が使用される.これらは骨折部の固定や整復位の保持にはきわめて重要な役割を果たすが,生体にとっては異物であるため,適切な術後感染予防対策がなされたとしてもまれに術後感染を生じて治療に難渋することがある.特に開放性骨折の場合にはそのリスクが高くなるが,その詳細は他項に譲るとして,本項では閉鎖性骨折に対する内固定術後に生じた感染を念頭に述べる.
【頻度】
閉鎖性骨折術後に生じる手術部位感染の頻度は,大腿骨近位部骨折,橈骨遠位端骨折をはじめいずれの部位においても1%以下とされているが,下肢の骨折においてその頻度が高いと報告されている.
診断のポイント
全身的には37.5℃以上の持続する発熱,肉眼的には手術部位の発赤,腫脹,熱感を認め,手術部位に排膿や瘻孔を認める場合には診断が容易である.排膿が
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