診療支援
治療

骨・軟部腫瘍の画像診断
Imaging in the diagnosis of bone and soft tissue tumors
林 克洋
(金沢大学大学院 特任教授(地域未来医療整形外科学講座))

【概要】

 整形外科外来で単純X線はルーチンで撮影されるが,骨折や変形性関節症など頻度の高い疾患に目が行きがちである.写真を見る際に,骨の輪郭をまずは一周するように目を通し,皮質の破綻や,透亮像,硬化像など異常陰影がないか隅から隅まで観察することを心がけたい.骨肉腫に代表される悪性腫瘍の患者は,はじめから専門施設を受診することはめったになく,一般整形外科医の診察を受けるため,見逃されることもある.腫瘍性病変などを疑った場合は,MRIの撮影や専門機関への紹介を躊躇しないことも大事である.軟部腫瘍では,ガングリオン,アテローマなどの頻度が高く,検査せず摘出しがちであるが,少しでも所見に違和感があるなら,まずMRI検査を行うことを勧める.

 骨・軟部腫瘍専門施設では,造影MRI,核医学検査などで診断の絞り込みを行う.また,化学療法の効果判定,術前計画,再発の確認などのためにも画像検査は適宜行われる.


1.単純X線

 外来検査として最初に行うものである.腫瘍性疾患を疑うなら,必ず単純X線で左右両側を撮影し,正常側と比較する(図5-1).骨腫瘍の多くは,年齢などの背景と単純X線像で診断が絞り込める.具体的には,腫瘍の基質(溶骨型,造骨型,混合型),辺縁(明瞭,不明瞭,硬化像),骨膜反応,石灰化や骨化の有無などを評価する.一方,軟部腫瘍は単純X線では検出が困難なものが多いが,血管腫の丸い石灰化(静脈石)や,滑膜肉腫や骨外性骨肉腫の不整な石灰化が認められることがある.


2.MRI

 骨腫瘍,軟部腫瘍ともに必須の検査で,発生部位,サイズ,広がり,腫瘍の基質,神経や血管との位置関係の情報が得られる.腫瘍は一般にT1強調像で低信号,T2強調像で高信号を呈する.骨内の病変の広がりは,T1強調像で低信号域として容易に把握できる.組織分解能に優れており,脂肪,血腫,液体,線維などの腫瘍を構成している成分が推測

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