【概説】
骨・軟部腫瘍分類の国際標準はWHO分類(2020年改訂第5版)である.加えて国内では,日本整形外科学会骨・軟部腫瘍委員会による「悪性骨腫瘍取扱い規約」,「悪性軟部腫瘍取扱い規約」に則り検体は取り扱われる.腫瘍分類は,かつてはどんな組織に由来するかという視点で行われてきたが,近年はどのような分化を示すかという視点に変わってきた.また,特異的遺伝子変異が知られるようになり,遺伝子変異も腫瘍分類要素の1つとなっている.
骨・軟部悪性腫瘍のほとんどが希少がんと定義されるように,発生頻度が低いにもかかわらず種類が多く組織所見が多様であることから,その組織診断には高度の専門性が要求される.そのため,骨・軟部腫瘍を扱う病院には骨・軟部腫瘍を専門とする病理診断医が必要とされるが,骨・軟部腫瘍病理医は少なく,Jaffe's triangleを実践できている病院は限られている.そのような環境下で骨・