診療支援
治療

生検術
Biopsy
松峯 昭彦
(福井大学 教授)

【概説】

 骨・軟部腫瘍において臨床所見や画像所見で悪性腫瘍を疑う際には,生検を行うことにより病理組織学的診断および組織学的悪性度の評価を行う.正確な病理診断を得るためには正しい生検を行わなければならない.不適切な生検により,治療プランが何らかの影響を受けたり,患肢温存が不可能となる場合があるので,生検は正しい手法で,計画的に行われなければならない.

【適応】

 骨・軟部腫瘍,骨髄炎,画像では診断できない骨病変,隆起性病変など.


1.生検術の種類

【1】針生検術

 軟部肉腫に対する針生検は外来で容易に行うことができる.深部に発生した軟部腫瘍では,正確にサンプル採取するために,超音波エコーを併用することが望ましい.骨腫瘍であっても,溶骨性病変であればX線透視下あるいはCTガイド下に針生検が可能である.針生検のサンプルは小さいため,病理診断に難渋することがあるのが欠点である.

【2】骨生検針による生検術

 硬い骨腫瘍の生検では,外筒に特殊な刃の付いた骨生検針が必要となる.小さく切開して,X線透視下,またはCTガイド下で生検する.

【3】切開生検術

 通常は手術室で,小さく皮膚切開し組織を採取する.十分量の組織採取が可能であるが,広範切除での生検ルート合併切除時に,軟部組織切除量が大きくなる傾向にある.

【4】切除生検術

 3cmまでの小さな腫瘍に対しては切除生検を行ってもよい.ただし,病理組織診断が悪性腫瘍であった場合には,追加広範切除が必要となる.


2.実施上の注意点

【1】局所麻酔下での切開生検術はできるだけ避ける

 周囲軟部組織への腫瘍の播種を最小限にするために,局所麻酔下での切開生検はできるだけ避ける.全身麻酔,伝達麻酔,腰椎麻酔などで生検を行うのが望ましい.

【2】生検ルートの決定は重要である

 診断確定後には生検ルートを含めた腫瘍広範切除が必要となるので慎重に生検ルートを決定する.生検ルートは,坐骨

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