【概要】
四肢悪性骨腫瘍切除後の患肢再建としては,現在一般的には治療成績の安定している腫瘍用人工関節が用いられる.現在日本で利用できる腫瘍用人工関節はStryker社のGlobal Modular Reconstruction System(GMRS)やZimmer Biomet社のOrthopedic Salvage System(OSS),京セラ社のKyocera Modular Limb Salvage System(KMLS)などが代表的である.また小児の将来的な脚長差に対応するStryker社のGrowing Kotz Systemがある.置換部位としては,大腿骨遠位,脛骨近位など膝関節が多く,次に大腿骨近位あるいは上腕骨近位などがある.Growing Kotz Systemは小児の成長に合わせてステム径,ステム長,コンポーネントのタイプ,延長量などを決めて作製するオーダーメイドタイプの腫瘍用人工関節である.他の人工関節は,各コンポーネントを組み合わせることで切除長,固定法などが調整可能なモジュラータイプであり,広く普及しているタイプである.膝関節部分は最近のモジュラータイプの腫瘍用人工関節はヒンジタイプからストレスの分散をはかるローテーティングヒンジ型に変わりつつあり,今ではこのタイプが一般的である.腫瘍用人工関節は,術後早期から安定した患肢機能を獲得できるが,経過とともに感染,破損,折損,弛みなど種々の合併症の頻度が増加することも事実である.腫瘍用人工関節の中長期成績は,当科では5年生存率85%,10年生存率58%であった.
【適応】
術前化学療法により,安全な切除縁を確保して広範切除が可能な症例が適応となる.腫瘍用人工関節は切除部位により広範囲に生じる骨欠損に対応可能であり,年齢的には骨成長がほぼ終了した若年者が適応となる.小児期の患肢再建では,延長型人工関節