診療支援
治療

生物学的再建術
Biological reconstruction
林 克洋
(金沢大学大学院 特任教授(地域未来医療整形外科学講座))

【概要】

 悪性骨腫瘍切除後の再建方法として,大きく腫瘍用人工関節による再建と,生物学的再建の2つの方法がある.人工関節による再建術は,術後経過は安定しており早期から荷重リハビリテーションなどが可能な反面,近年の抗がん剤治療の進歩により,骨肉腫などは長期生存する患者が増えたため,長期的に再置換術や感染が危惧される.また,運動負荷も日常生活程度にとどまる.骨移植,仮骨延長などを応用した生物学的再建では,骨再生に時間がかかることがあるが,いったん再生が完成すれば,正常骨と同様,追加手術が必要になることはなく,運動などの負荷にも耐えられるという利点がある.


生物学的再建法

 わが国で広く行われている生物学的再建法には,①同種骨を用いた再建,②自家移植骨を用いた再建,③創外固定器などを用いた骨延長術による再建,④自家腫瘍処理骨を用いた再建などがある(表5-4).

【1】同種骨による再建

 同種骨は骨バンクの発達した諸外国では広く用いられているが,わが国では宗教的死生観のため入手は限定的である.人工骨頭置換術などで切除された大腿骨頭を細骨片として用いることはあるが,一塊として四肢の再建に用いることは多くない.また,一塊として移植した際,自己由来の骨ではないので骨癒合に時間がかかること,骨再生は骨表面にわずかにみられるのみで,移植骨全体に再生するというところまでは期待できない.

【2】自家移植骨を用いた再建

 自家骨を用いた再建では,腸骨や腓骨が用いられることが多い.腓骨を用いる場合には,有茎で血管を付けた血管柄付き腓骨移植と,血管を付けずに移植する方法がある.有茎で用いる場合には,形成外科医や手外科医による血管縫合が必要となり,手術時間も延長する.成人では,移植後腓骨の横径肥大は緩徐にしか生じないため,荷重部に使用した場合には骨折が問題となる.そのため左右から腓骨を採取したり,採取した腓骨を二重

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