診療支援
治療

骨肉腫
Osteosarcoma
山本 憲男
(金沢大学大学院 特任教授)

【定義・概念】

 骨肉腫は,原発性悪性骨腫瘍のなかで最も発生頻度が高い腫瘍である.組織学的には,腫瘍細胞自体が骨や類骨をつくるのが特徴である.わが国における骨肉腫の発生頻度は,100万人に対して1~2人の発生率といわれており,希少がんに相当する.若年者に好発し,10歳代に発症のピークがある.特徴的な遺伝子変異はいまだ同定されていない.活動性が高い若年層で好発することから,外傷やスポーツによる局所の疼痛や腫脹として,近医を受診し発見されることも多い.また受診が遅れ,進行してから受診する場合も少なくない.

 通常型骨肉腫は,高悪性度の腫瘍であり,多くの場合,発見時にはすでに潜在的な微小転移があるといわれている.化学療法の導入以前には,その生存率は10%程度であったが,1970年代以降の化学療法を含む集学的治療法の進歩により,その治療成績は飛躍的に向上している.今日骨肉腫に対しては,術前および術後の化学療法と腫瘍広範切除術が標準的な治療方法となっている.転移病変の有無が生命予後と強く相関しており,早期からの疾患の診断と適切な治療開始が非常に重要である.

【好発年齢・分類】

 好発年齢は10歳代にピークがあり,次いで20歳代,10歳以下と続き,男性にやや優位に発生する.5歳以下に発症することは,極めてまれである.また,二次性の骨肉腫は中高年に発症のピークがある.どの骨にも発生しうるが,長管骨の骨幹端部に好発し,大腿骨遠位部,脛骨近位部,上腕骨近位部の順に多く発生し,膝関節周囲だけで半数を超える.

 骨肉腫には,大きく骨内と骨表面に発生するものとがある.通常型骨肉腫は骨内に発生し,その主たる組織像から,骨芽細胞型(osteoblastic type),軟骨芽細胞型(chondroblastic type),線維芽細胞型(fibroblastic type)の3つに分類される.通常型以外の骨内発

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