診療支援
治療

関節リウマチのリハビリテーション,機能訓練と装具療法
Rehabilitation for rheumatoid arthritis, functional exercise and orthotic treatment
阿部 麻美
(新潟県立リウマチセンター 診療部長〔新潟県新発田市〕)

【概説】

 関節リウマチ(rheumatoid arthritis;RA)は全身の関節に生じる炎症により関節破壊を起こす疾患で,経過によって関節拘縮や軟骨,骨破壊をきたす.関節破壊の程度によって日常生活動作,社会生活が脅かされる.

 昨今のRAの治療法の進歩,1999年のメトトレキサート,2003年の生物学的製剤(bDMARDs)の使用開始により,局所の炎症が抑えられ,RA患者の関節破壊の進行が食い止められてきている.早期のtight controlがRA治療の目標となり,これによって関節破壊を免れ,ほぼ問題なく生活できる患者も増えた.早期RAでは関節可動域訓練,筋力,持久力増強などの運動療法,除痛のための物理療法,患者教育の重要性が強調される.しかしさまざまな理由で関節破壊が進行してしまう患者も皆無ではない.進行例では関節破壊による変形があっても,除痛により過度の運動,使用を行ってしまう場合があり,軟骨破壊・骨破壊・腱断裂などの障害(オーバーユース症候群)を予防するために,関節保護の方法や患者への生活指導が重要になってくる.関節の炎症が鎮静化したのち,関節変形を伴う関節破壊,拘縮を呈する晩期例には,就学復帰,家庭・社会復帰に向けたチーム医療,医療連携などの積極的支援が求められる.

 生物学的製剤といっても万能ではなく,薬剤反応性が低い例,高疾患活動性の例では関節破壊も急速に進む場合がある.その場合手術療法も含めた介入が必要となることもある.リハビリテーション介入に関しても,重症RAでもコントロールされている例においては,手術とリハビリテーションの適切な組み合わせでADLを改善できるとも報告されている.


1.急性期のリハビリテーション

 関節炎が強いときに運動負荷をかけると関節破壊を助長してしまうので,関節炎の鎮静化が重要である.また,早期RA患者において手,足の関節破壊の進行は早

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