【外科治療の概念】
関節リウマチ(rheumatoid arthritis;RA)は,全身性の炎症性自己免疫疾患であると同時に,関節(滑膜)をターゲットとする運動器疾患でもある.滑膜炎による関節腫脹と疼痛,関節破壊を伴う変形,不安定性,亜脱臼,時に拘縮,強直などにより身体機能障害を生じてくる.薬物療法における目標達成に向けた治療(Treat to Target;T2T)の導入と近年の生物学的製剤,Janus kinase(JAK)阻害薬などによる治療強化が推し進められた結果,低疾患活動性あるいは臨床的寛解となる患者が60%以上に増えた.
しかし,RAの炎症が全身的に鎮静化されても,手・足の小関節に滑膜炎が燻り続けていることがある.感染症などの併存疾患や経済的理由で薬物療法の強化ができずに,関節破壊と変形の進行(不可逆的変化)を生じてくることもある.人口の高齢化に伴い,RAの治療に加えて骨粗