診療支援
治療

関節リウマチ患者の在宅生活支援
Home life support for patients with rheumatoid arthritis
仲村 一郎
(独立行政法人地域医療機能推進機構湯河原病院 診療統括部長〔神奈川県足柄下郡〕)

1.地域包括ケアシステムによる在宅生活支援

 在宅生活を支援するための国の主な制度には医療保険と介護保険とがある.政府は2014(平成26)年に,地域における医療および介護の総合的な確保を推進するために医療介護総合確保推進法を成立させ,これに基づき地域包括ケアシステムの構築が進められている.

 地域包括ケアシステムとは,重度な要介護状態になっても住み慣れた地域で,尊厳をもって自分らしい暮らしを人生の最期まで続けるために,医療・介護・住まい・生活支援・介護予防が包括的に確保される体制のことをいう.おおむね30分以内に必要なサービスが提供される日常生活圏域(具体的には中学校区)を単位として設定され,地域の自主性や主体性に基づき,市町村が主体となってつくり上げていくことが必要とされている(図6-4).

 この地域包括ケアシステムのなかで,医療機関への通院が困難な患者に対して医師が行う訪問診療は,医療保険を利用した在宅生活支援の1つである.また,患者が介護保険を利用して,通所リハビリテーションに通うこと,訪問リハビリテーションを受けることも,在宅生活支援に含まれる.一方,介護保険が「非該当」と判定され,介護保険サービスが利用できない場合でも,地方自治体が独自に「介護予防プログラム」を実施しており,地域包括支援センターが窓口となってさまざまなサービスを提供している.


2.在宅生活支援における医師の役割

 医師は地域包括ケアシステムの一員として,患者の日常医療を担う立場にある.関節リウマチの疾患活動性を制御し寛解に導くことは,リウマチ医の大きな役割である.圧痛関節,腫脹関節の部位と程度の確認,血液検査での炎症性マーカーの推移,適切な治療薬の選択と副作用のチェックを行い,在宅生活の基盤をつくる.身体障害者診断書や介護保険の主治医意見書の作成を通して,障害者福祉制度や介護保険制度など公的支援への道

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