1.地域包括ケアシステムによる在宅生活支援
在宅生活を支援するための国の主な制度には医療保険と介護保険とがある.政府は2014(平成26)年に,地域における医療および介護の総合的な確保を推進するために医療介護総合確保推進法を成立させ,これに基づき地域包括ケアシステムの構築が進められている.
地域包括ケアシステムとは,重度な要介護状態になっても住み慣れた地域で,尊厳をもって自分らしい暮らしを人生の最期まで続けるために,医療・介護・住まい・生活支援・介護予防が包括的に確保される体制のことをいう.おおむね30分以内に必要なサービスが提供される日常生活圏域(具体的には中学校区)を単位として設定され,地域の自主性や主体性に基づき,市町村が主体となってつくり上げていくことが必要とされている(図6-4図).
この地域包括ケアシステムのなかで,医療機関への通院が困難な患者に対して医師が行う訪問診療は,医療