【疾患概念】
特発性大腿骨頭壊死症は,大腿骨頚部骨折などの外傷,潜函病,放射線治療などの明らかな原因がなく,大腿骨頭の骨壊死が発生する疾患である.わが国での患者男女比は1.2~2.1:1で男性に多く,男性では30~59歳の割合が高く,女性では20~79歳まで広く分布している.有病率は人口10万人あたり18.2人である.ステロイド全身投与,習慣性飲酒,喫煙などが関連因子とされているものの,壊死の発生機序は明らかになっていないが,大腿骨頭への血流障害が病因と考えられている.虚血の機序として,酸化ストレスや血管内皮機能障害,脂質代謝異常,脂肪塞栓,血液凝固能亢進などの関与が報告されている.現在,特発性大腿骨頭壊死症は「難病の患者に対する医療等に関する法律」に基づき指定される指定難病で,特定医療費受給者証が交付される.
【臨床症状】
特発性大腿骨頭壊死症の発生時期はいまだ不明である.特にアルコール関