診療支援
治療

骨系統疾患のX線診断
X-ray diagnosis of skeletal dysplasia
西村 玄
(武蔵野陽和会病院 医長(放射線科)〔東京都武蔵野市〕)

【概説】

 骨系統疾患は骨軟骨異形成症(osteochondrodysplasia)と異骨症(dysostosis)に大別される.前者は骨・軟骨原基の成長と恒常性の障害による全身性疾患である.後者は局所的な骨・軟骨原基のパターン形成異常である.しかし,両者の複合を示す疾患も存在する.骨幹端異形成症Jansen型は,副甲状腺ホルモン・副甲状腺ホルモン関連ペプチドの受容体の機能亢進と軟骨細胞成熟障害を病態として骨軟骨異形成症に分類される疾患である.しかし,胎生期の軟骨成熟障害は,成長板の位置異常(骨幹側に形成)というパターン異常をもたらす.骨幹端の不整に加えて巨大骨端核がみられるのはこのためである(図7-1).この項では,骨軟骨異形成症のX線診断について述べる.

 最新の骨系統疾患国際分類は,461疾患を42グループに分類している(Am J Med Genet A 179: 2393-2419, 2019).これら多くの疾患の詳細を記憶することは困難である.しかし,頻度の高い疾患の骨所見を把握しその鑑別診断を行うことで,目の前の症例にアプローチすることは可能である.頻度の高い骨系統疾患は骨形成不全症,軟骨無形成症,2型コラーゲン異常症で全疾患の半数を占める.Larsen症候群に代表される関節異常を主徴とする疾患群の骨所見,ムコ多糖症の骨所見(dysostosis multiplex)も把握しておくべきである.骨形成不全症や硬化性骨異形成症の診断は比較的やさしい.


診断の鍵となる骨所見

 骨系統疾患の命名は,臨床像そのものを反映したもの(例:変容性骨異形成症),背景となる病態を反映したもの(例:軟骨無形成症),eponym(例:Kniest骨異形成症)とさまざまである.しかし,X線所見をそのまま病名としている疾患(例:先天性脊椎骨端異形成症)が多く,画像所見の記述がそのままカテゴリー分

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