診療支援
治療

概説
Overview
松下 雅樹
(名古屋大学大学院 講師)

 2015年に改訂された国際分類によると,線維芽細胞増殖因子受容体3(fibroblast growth factor receptor 3;FGFR3)軟骨異形成症グループにはタナトフォリック骨異形成症(thanatophoric dysplasia)1型および2型,重症軟骨無形成症・発達遅滞・黒色表皮腫(severe achondroplasia with developmental delay and acanthosis nigricans;SADDAN),軟骨無形成症(achondroplasia),軟骨低形成症(hypochondroplasia),屈指・高身長・難聴症候群(camptodactyly,tall stature and hearing loss syndrome;CATSHL症候群)に分類されている.これらの疾患にはFGFR3遺伝子に異常が認められる.一方,FGFR3遺伝子に変異が認められない軟骨低形成症に類似する疾患は軟骨低形成症様異形成症(hypochondroplasia-like dysplasia)と分類されている.

 FGFR3は主に成長軟骨板の軟骨細胞に発現し,軟骨細胞の増殖および骨への分化をコントロールしている.軟骨無形成症ではFGFR3が過剰に活性化されているため軟骨細胞の増殖・分化が抑制され,軟骨内骨化が障害されることにより骨伸長が抑制される.一方,CATSHL症候群ではFGFR3は抑制されているため骨伸長が促進される.このようにFGFR3は骨伸長におけるネガティブレギュレーターとして作用する.

 軟骨低形成症は,軟骨無形成症の軽症型である.SADDANは軟骨無形成症の重症型,タナトフォリック骨異形成症は重度の四肢短縮型低身長に加え,肋骨の短縮に起因した胸郭形成不全により呼吸障害を呈するFGFR3軟骨異形成症グループの最も重症の疾

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