診療支援
治療

大理石骨病
Osteopetrosis
西須 孝
(千葉こどもとおとなの整形外科 院長〔千葉市緑区〕)

【疾患概念】

 破骨細胞の機能不全により,全身骨の骨硬化,骨髄腔の狭小化・消失を認める疾患.さまざまな遺伝子異常が本疾患の原因となる.

【臨床症状】

 易骨折性を認め,骨折時の単純X線検査で本疾患と診断される.疲労骨折も起こりやすい.重症例では,頭蓋底の骨肥厚による脳神経症状,骨髄腔の狭小化による汎血球減少がみられる.学童期以降で,Perthes病を発症することがあり,青年期以降では,股関節に軟骨溶解が生じて,可動域制限をきたすことがある.


問診で聞くべきこと

 家族歴に加え,難聴,視力障害,骨折の既往の有無について問診する.


必要な検査とその所見

 全身骨の単純X線撮影を行って診断を確定する.長管骨骨髄腔の狭小化・消失(図7-26),椎体終板の硬化像が特徴的である.血液検査は必須で,汎血球減少や低カルシウム血症がないか確認する.


鑑別診断で想起すべき疾患

 鑑別が難しいのは濃化異骨症で,単純X線所見は酷似するが,濃化異骨症に特徴的な指趾末節骨の骨溶解はみられない.


診断のポイント

 全身骨の骨髄腔が極端に狭ければ本疾患を疑い,他疾患を除外診断できれば本疾患と診断できる.


専門病院へのコンサルテーション

 本疾患に伴う骨折,Perthes病,股関節軟骨溶解症の治療にはある程度の専門知識が必要であるため,専門医に相談することが望ましい.


治療方針

 臍帯血移植などの造血幹細胞移植を行って成功すると,全身骨の単純X線所見が数年間で劇的に正常化し,汎血球減少も改善するが,造血幹細胞移植には重大な合併症を起こすリスクもあるため,著明な汎血球減少など,生命をおびやかす状態でなければ,積極的には行われていない.

‍ 骨折治療について:健常者において保存療法の適応となる骨折に対しては,まず保存療法を行う(図7-26).手術療法が必要と判断されたときには,原則としてプレート固定を行う.スクリュー挿入のためドリリングを

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