診療支援
治療

骨斑紋症
Osteopoikilosis
魚谷 弘二
(岡山大学病院 医員)

【疾患概念】

 散発性もしくは常染色体優性遺伝形式の,骨硬化性の骨系統疾患である.Stieda(1905年),Albers-Schönberg(1915年)により報告され,1916年Ledoux-Lebardによりosteopoicilieと命名された.

【頻度】

 211,000例の単純X線写真を無作為に調査し12例に認めた(0.057%)とする報告や,50,000人に1人(0.002%)とする報告がある.

【臨床症状または病態】

(1)症状

 ①通常は無症状で,外傷などを契機に撮影された単純X線写真で偶発的に発見される.

 ②20%の症例で軽度の関節痛や関節腫脹を認めるとされる.軽度の関節拘縮を生じることもある.

 ③10~15%に皮膚病変を伴う.結合織母斑である播種性結節性皮膚線維腫症を合併することがあり,この場合,Buschke-Ollendorff症候群とよばれる.

 ④流蝋骨症(melorheostosis)を伴う家系もある.

(2)病態

 TGF-β伝達経路における核膜内膜蛋白であるMAN1をコードするLEMD3の機能喪失性遺伝子変異により本症が起こることが,2004年にHellemansらにより示されている.


必要な検査とその所見

 特異的な身体所見や血清学的異常はない.

 ①単純X線(図7-29):長管骨の骨端部や骨幹端部,骨盤,肩甲骨,手根骨,足根骨などに主に認められる集簇する多数の大小不同の骨硬化斑.通常数mm~数cmの境界明瞭な円状もしくは楕円状を示す.分布は通常左右対称性で,時に骨化線状となり骨幹端を縦走する.通常2~3歳頃にはすでに生じていて,急に増大することはない.また,頭蓋骨や脊椎などの管状骨に生じることはまれである.

 ②MRI:T1,T2強調像ともに小さなlow intensity areaとして認められる.

 ③骨シンチグラフィー:通常は正常像であるが,時に軽度の集

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