診療支援
治療

多発性軟骨性外骨腫症
Multiple cartilaginous exostoses
滝川 一晴
(静岡県立こども病院 医長〔静岡市葵区〕)

【疾患概念】

 四肢長管骨や短管骨の骨幹端部に,軟骨帽を伴う外骨腫(組織学的には骨軟骨腫)が多発する疾患である.鎖骨や肋骨,腸骨にも外骨腫は生じやすい.常染色体優性遺伝形式をとるが,孤発例も多い.ヘパラン硫酸の合成酵素であるexostosin(EXT)が原因遺伝子として同定されている.

【頻度】

 少なくとも5万人に1人の発生頻度といわれている.

【病型・分類】

 男性が女性より重症な表現型を示すことが多い.また,単純X線により橈尺骨遠位の外骨腫と短縮の有無で重症度を評価する谷口分類(Ⅰ群:前腕非罹患,Ⅱ群:外骨腫は前腕遠位に存在するが変形・成長障害はないもの,Ⅲ群:前腕遠位に外骨腫が存在し,かつ変形・成長障害があるもの)が有用である.発症年齢,病変箇所,身長について3群間に有意差がある(Ⅰ群が軽症型,Ⅲ群が重症型)ことが報告されている.

【臨床症状】

 幼少期に腫瘤で発症する.腫瘍は性別や部位により異

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