【疾患概念】
四肢長管骨や短管骨の骨幹端部を中心に内軟骨腫(組織学的には骨軟骨腫)が多発する骨系統疾患である.遺伝性はなく散発性である.Ollier病は片側性に多発する内軟骨腫症に対して使用されている用語で,内軟骨腫症と異なる特別な疾患概念ではない.
【頻度】
はっきりしていない.
【臨床症状または病態】
手や足の腫脹,罹患下肢の変形・短縮を生じる.骨脆弱性に起因する病的骨折を生じることもある.内軟骨腫症に多発性血管腫を伴う状態をMaffucci症候群という(図7-36図).
問診で聞くべきこと
手足の腫脹部位,下肢変形の有無について確認する.また,血管腫の有無についても聴取する.
必要な検査とその所見
単純X線では,管状骨骨幹端部に皮質骨の菲薄化や時に膨隆を伴う線状や円錐状,楕円状の骨透亮像が多発する.下肢の変形・短縮を生じることもある.上記のように,病変が片側に偏っていることもある.
鑑別で想起すべき疾患
多発性軟骨性外骨腫症,metachondromatosis.
診断のポイント
単純X線像で多発する内軟骨腫像から診断する.
専門病院へのコンサルテーション
特に下肢変形・短縮に対する手術治療は,年齢に応じて適切な時期に介入することが重要なため,診断がついた(疑いを含む)時点で専門家に紹介することが望ましい.
治療方針
病巣掻爬,骨移植術の適応となることはなく,重度の手や足の変形には腫瘍の部分切除を考慮することもある.下肢の変形・短縮に対する治療が主体となる.複数回の手術を必要とすることが多い.
合併症と予後
通常,骨成熟以降に新たな病変は生じない.新たな病変の出現や病変の増大傾向は,悪性化の可能性を考える.悪性化は高率であり,Maffucci症候群では悪性頭蓋内腫瘍を含む骨内・骨外腫瘍の合併率は30%に達する.
患者説明のポイント
悪性化に対する注意が必要であり,定期的な整形外科診療の必
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