【疾患概念】
1841年にPolandが報告した,合短指症に同側の大胸筋低形成を合併する先天異常.片側罹患であり,遺伝性疾患ではないとされている.
【病態・臨床症状】
上肢の合短指症は先天異常分類では横軸形成障害に分類され,その程度は,指が短く皮膚性合指症を呈する症例から(図7-40図),一部欠損を認める症例までさまざまである.大胸筋の低形成の程度もさまざまで,乳児期には明らかでないこともあれば,高度欠損で,出生時より胸部が非対称の場合もある.
問診で聞くべきこと
家族歴の有無,小児科的合併症の有無.
必要な検査とその所見
単純X線にて上肢の骨の異常を健側と比較検討する.
診断のポイント(鑑別診断)
手指の低形成の程度はさまざまである.合指症を呈する疾患は,絞扼輪症候群,指列誘導障害などがあり,指が短いという点からは短指症との鑑別も必要である.発生過程が異なるので,診断にあたっては四肢全体の異常の有無について,細かい評価が必要である.
専門病院へのコンサルテーション
治療開始の有無にかかわらず,疾患に対する家族の理解を得るためにも,早期に専門医に紹介すべきである.
治療方針
【1】保存療法
大胸筋の低形成は機能的な問題を生ずることは少ない.整容面から,特に女児では思春期以降胸郭の非対称が目立つことがあり,補正下着などを考慮することもある.上肢の高度欠損に対しては,小児でも筋電義手の適応もありうる.
【2】手術療法
手指に関してはその状態に応じて,手術療法を考える.合短指に対しては,1歳頃に指の分離・指間形成・植皮術が適応となる.把持機能障害を生ずるような高度の短指あるいは欠損に対しては,骨延長術,趾骨移植,趾移植術などが適応となることもある.骨延長術では治療期間が長期にわたること,趾移植では,足への影響なども考慮することが必要である.片側罹患であるので,どこまで治療介入するかは慎重な判断が