【疾患概念】
わが国には重複障害児に関する明確な定義は存在しないが,一般には学校教育法で規定される障害(視覚障害,聴覚障害,知的障害,肢体不自由,病弱)や,厚生行政上の障害(視覚障害,聴覚障害または平衡機能障害,音声・言語障害または咀嚼機能障害,肢体不自由,内部障害,知的障害,精神障害)のうち,2つ以上を併せもつ場合を指すことが多い.このなかで,整形外科医がかかわる機会が多いのは,いわゆる重症心身障害児(重度の身体障害と重度の知的障害の重複)であるため,本項では主に重症心身障害児について述べる.
【病型・分類】
重症心身障害は医学的診断名ではなく,元東京都立府中療育センター院長の大島一良により施設入所基準として考案された分類(図8-4図)で,1,2,3,4の範囲に入るものが該当するとされている.社会福祉法人全国重症心身障害児(者)を守る会によると,わが国にはおよそ43,000人の重症心身障害