診療支援
治療

重複障害児の療育管理指導
Rehabilitation and management of children with severe motor and intellectual disabilities
中村 純人
(東京都立北療育医療センター 科長,訓練科長〔東京都北区〕)

【疾患概念】

 わが国には重複障害児に関する明確な定義は存在しないが,一般には学校教育法で規定される障害(視覚障害,聴覚障害,知的障害,肢体不自由,病弱)や,厚生行政上の障害(視覚障害,聴覚障害または平衡機能障害,音声・言語障害または咀嚼機能障害,肢体不自由,内部障害,知的障害,精神障害)のうち,2つ以上を併せもつ場合を指すことが多い.このなかで,整形外科医がかかわる機会が多いのは,いわゆる重症心身障害児(重度の身体障害と重度の知的障害の重複)であるため,本項では主に重症心身障害児について述べる.

【病型・分類】

 重症心身障害は医学的診断名ではなく,元東京都立府中療育センター院長の大島一良により施設入所基準として考案された分類(図8-4)で,1,2,3,4の範囲に入るものが該当するとされている.社会福祉法人全国重症心身障害児(者)を守る会によると,わが国にはおよそ43,000人の重症心身障害児(者)がいると推定されている.

 これも医学的診断名ではないが,重症心身障害児者などの医療的介入の評価として,「超重症児(者)・準超重症児(者)の判定基準」があり,運動機能が座位まで,かつ,判定スコア合計25点以上が超重症児(者),10点以上25点未満が準超重症児(者)と定義され,それぞれ診療報酬上の加算要件となっている(表8-3).

【臨床症状】

 重症心身障害児では自力移動不可,座位保持困難といった運動・姿勢の障害と意思疎通が困難といった知的障害をもつが,整形外科的には上下肢の関節拘縮,脊柱変形,股関節脱臼・亜脱臼などがよくみられる.Wind-swept deformityや胸郭変形が生ずると,呼吸機能障害や摂食嚥下障害の増悪や,他の合併症と合わせて児の健康に悪影響が及ぶこともある.

 また,多くの重症心身障害児に,不動や低栄養,骨代謝に影響する抗てんかん薬や胃酸分泌抑制薬投与などが原因と

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