【疾患概念】
異所性骨化とは,正常骨格以外の部分に成熟骨組織が形成された状態をいう.骨梁構造を認める点が石灰化との違いである.原因は不明であるが,発生契機は,外傷,術後,脳・脊髄障害後,熱傷,透析などがある.
【頻度】
報告者により異なるが,上述の契機に伴い約20~30%に発生するとされる.好発部位は骨盤,股関節,膝,肩,肘関節である.
【臨床症状と所見】
急性期は局所の腫脹,熱感,疼痛,発赤がみられる.亜急性期は局所の腫瘤と関節可動域制限がみられる.慢性期は腫瘤と関節可動域制限の増強がみられる.
鑑別診断で想起すべき疾患
感染,血栓,塞栓症,石灰化,骨・軟部腫瘍,複合性局所疼痛症候群,進行性骨化性線維異形成症(→)がある.
必要な検査
血液検査では,ALP・CPK上昇,赤血球沈降速度亢進がみられる.なかでもALPは臨床症状が現れる前から上昇し,約10週間で最高値に達する報告がある.単純X線は初期