サルコペニア(sarcopenia)は,ギリシャ語で筋肉を表すsarxと喪失を意味するpeniaを組み合わせた造語であり,1989年にRosenbergによって提唱された概念である.当初は,加齢とともに変化する筋量のみに注目した定義であった(Baumgartnerら,1998年)が,近年は筋量減少に伴う筋力や身体機能低下の意義が強調されるようになり,さまざまな定義と診断基準が提案されている.
2010年にEuropean Working Group on Sarcopenia in Older People(EWGSOP)からサルコペニア診断のための骨格筋量指数による筋量,握力による筋力,簡易身体能力バッテリー(SPPB)あるいは歩行速度による身体機能のカットポイントが発表されたのに続いて,2014年にアジアの疫学データを基にしたAsian Working Group for Sarco