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トピックス レストレスレッグス症候群
山寺 亘
(東京慈恵会医科大学葛飾医療センター 診療部長(精神神経科))

 レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群.restless legs syndrome;RLS)は,夕方~夜間に,下肢を主体に動かしたい強い欲求にかられる感覚運動障害である.患者はむずむず感,蟻走感,灼熱感,痛みなどによって,就床後にじっとしていられないので眠れないと訴える.入眠困難,睡眠維持困難を呈し,睡眠障害国際分類第3版の睡眠関連運動障害群に分類される.

 欧米の有病率は5~10%であり,加齢とともに増加する.性差は,女性で約2倍多い.7~80%に,周期性四肢運動(periodic limb movement;PLM)が合併する.特発性と二次性に分類される.特発性は,家族集積性を示す場合があり,常染色体優性遺伝の可能性が指摘されている.二次性の原因疾患は,①慢性腎不全,②鉄欠乏性貧血,③妊娠,④Parkinson病,⑤関節リウマチ,⑥薬物・物質(抗精神病薬・抗うつ薬・抗ヒスタミン薬・カフェイン)などである.病態について,中枢神経系のドパミン機能不全や鉄代謝障害が考えられている.

 診断は,主観的評価によってなされる.①異常感覚のために脚を動かしたいという強い欲求,②安静時に症状が発現・悪化,③体を動かすことで改善,④夕方~夜間に発現・悪化,の必須基準をすべて満たすことで確定する.診断補助所見には,①家族歴,②ドパミン作動薬の治療反応性,③PLMの並存がある.鑑別疾患(RLS mimics)には,抗精神病薬によるアカシジア,多発性神経障害,夜間こむら返り,下肢血管障害,気分障害などが挙げられる.

 治療として,二次性では原因疾患の治療や原因薬物の除去が優先される.鉄剤の補充は,血中フェリチン値<50ng/mLで推奨される.軽症例への非薬物療法には,①睡眠衛生指導(規則的な睡眠習慣,リラクゼーション),②行動療法(就床前の軽い運動,マッサージ,冷たいシャワー),③退屈な静座

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