診療支援
治療

Raynaud病,Raynaud症候群
Raynaud's disease, Raynaud's syndrome
桑名 正隆
(日本医科大学大学院 教授(アレルギー膠原病内科学分野))

【疾患概念】

 Raynaud現象は,寒冷曝露や精神的緊張により誘発される手指の3相性の色調変化のことで,典型的には白(虚血)→紫(チアノーゼ)→赤(再疎通)の変化を示す.臨床的には,2相以上の色調変化があればRaynaud現象とみなす.中手指節関節より遠位に明確な境界として出現することが多く,特に中央の3本の指で頻度が高い.血管攣縮の持続は15分以内のことがほとんどで,同時に冷えや痛みを自覚する場合がある.時に足趾,耳介,鼻でも観察される.出現頻度,持続時間ともに冬季に悪化するが,夏季でも空調の効いた部屋や冷蔵庫に手を入れた際など,温度変化により誘発される.Raynaud現象を呈する疾患群をRaynaud症候群とよび,基礎疾患を伴う場合は二次性,原因が明らかでない原発性をRaynaud病とよぶ.

【頻度】

 一般集団でみられるRaynaud現象の頻度は3~5%とされている.そのうち90%以上は原発性である.

【病型・分類】

 ①原発性(Raynaud病):40歳以下の女性に多い.振動工具やピアノ,タイピングなど,反復してキーを打つ楽器や道具を頻繁に使用している人で頻度が高い.手指壊疽など,重篤な虚血に至ることはない.

 ②二次性:全年齢層でみられ,基礎疾患として膠原病(全身性強皮症,混合性結合組織病,全身性エリテマトーデスなど),閉塞性動脈疾患(閉塞性動脈硬化症,Buerger病など),末梢神経障害(手根管症候群,胸郭出口症候群,変形性頚椎症,末梢神経炎など),血液疾患(原発性マクログロブリン血症,多血症など),甲状腺機能低下症,薬剤性(β遮断薬など),重金属中毒(ヒ素,鉛など)がある.特に膠原病や閉塞性動脈疾患を基礎とする場合は虚血の程度が強く,手指潰瘍,壊疽を伴う場合がある.

【病態】

 Raynaud現象は,四肢末端の小動脈の攣縮による一過性の虚血により誘発される機能性変化である.

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