【疾患概念】
Virchowが提示した内皮障害・凝固亢進・血流うっ滞を成因として,体幹もしくは四肢の深筋膜より深くに存在する深部静脈に生じた血栓を深部静脈血栓症(DVT)という.その血栓が遊離し,肺動脈を塞栓することによって,肺血栓塞栓症(pulmonary thromboembolism;PTE)が生じる.DVTとPTEは一連の病態であり,これら2つを合わせた概念を静脈血栓塞栓症(venous thromboembolism;VTE)とよぶ.本項では整形外科医が遭遇しやすい下肢を中心とした急性DVTについて述べる.
【頻度】
DVTの頻度は0.1~4.6%とされており,欧米に多いとされていたもののわが国でも増加傾向にある.また検査の感度の向上により,無症状のものも多く認められるようになっている.
【臨床症状または病態】
大部分が骨盤を含めた下肢に発生するため下肢症状が多く,また腸骨動静脈の解