診療支援
治療

運動器疾患患者の機能評価
Outcome measure of musculoskeletal disorders
千田 益生
(岡山大学病院 教授(総合リハビリテーション部))

 運動器リハビリテーションは,病気の診断,心身機能,動作,日常生活動作,社会参加の状態を把握することに始まる.病気の診断は,症状の原因と病理学的変化を同定することである.心身機能,動作,日常生活動作,社会参加の状態の評価が,機能評価である.心身機能とは,運動器に関しては神経機能,関節可動域,筋力,柔軟性などを指す.運動器疾患患者の機能評価には,①機能障害の評価,②基本動作の評価,③基本的ADL(日常生活動作)の遂行状態の評価,④手段的ADLの評価,⑤QOLの評価などがある.


1.機能障害の評価

【1】臓器の機能障害(神経機能,関節可動域,筋力など)の評価

 神経機能の評価として,麻痺や感覚障害の有無を評価する.腱反射は客観的指標になる.疼痛に関してはVAS(visual analogue scale)などを用いて測定する.関節可動域は自動運動および他動運動によって測定し,拘縮や疼痛の有無を評価する.筋力は,徒手筋力検査(manual muscle testing;MMT)や握力などの定量的評価法で測定する.

【2】切断

 切断の部位,断端の状態,近接関節の状態などを評価する.

【3】変形

 脊柱では側弯や円背などの有無,翼状肩甲や内反肘,外反肘の有無,指では白鳥のくび変形やボタン穴変形など,膝ではO脚,X脚,足では尖足,内反変形,外反母趾などを評価する.


2.基本動作の評価

【1】心肺機能の評価

 心機能,肺機能について評価する.リハビリテーション中止基準については,アンダーソン・土肥の基準や日本リハビリテーション医学会によるガイドラインがある.

【2】移動能力(起き上がり,座位,端座位,立位,歩行,階段昇降など)の評価

 患者自身で,起き上がり,端座位になり,立位をとり,歩行することができるかなど,患者の移動能力を確認する.下肢の手術後などは,体重負荷の制限などを把握する.歩行が自立している場合

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