診療支援
治療

高齢者の移動能力評価
Assessment of locomotion ability of elderly persons
矢吹 省司
(福島県立医科大学保健科学部 学部長)

1.高齢者の特徴

 人間の身体機能や精神機能は出生後から向上し,20~30歳程度でピークを迎える.その後は次第に低下していく.運動器リハビリテーションに関して重要なものとしては,筋肉量減少,筋力低下などの身体機能の低下がある.移動能力の維持・向上のために行う運動器リハビリテーションにおいて,高齢者では以下に示す変化が影響する可能性がある.これらの変化にも注意する必要がある.

・運動器系:筋萎縮・筋力低下,骨萎縮,関節変性.

・神経系:脳萎縮,不眠,記憶力低下,注意力低下,思考力低下.

・感覚器系:視力低下,聴力低下.

・循環器系:心拍出量低下,不整脈増加,動脈硬化.

・呼吸器系:肺コンプライアンスの低下,残気量の増加,痰排出力低下.


2.移動能力評価

 移動能力の評価法はさまざま存在するが,ここでは以下の3つについて記載する.

【1】6分間歩行テスト

 自分のペースで6分間に歩くことができる最大距離を測定する

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