1.高齢者の特徴
人間の身体機能や精神機能は出生後から向上し,20~30歳程度でピークを迎える.その後は次第に低下していく.運動器リハビリテーションに関して重要なものとしては,筋肉量減少,筋力低下などの身体機能の低下がある.移動能力の維持・向上のために行う運動器リハビリテーションにおいて,高齢者では以下に示す変化が影響する可能性がある.これらの変化にも注意する必要がある.
・運動器系:筋萎縮・筋力低下,骨萎縮,関節変性.
・神経系:脳萎縮,不眠,記憶力低下,注意力低下,思考力低下.
・感覚器系:視力低下,聴力低下.
・循環器系:心拍出量低下,不整脈増加,動脈硬化.
・呼吸器系:肺コンプライアンスの低下,残気量の増加,痰排出力低下.
2.移動能力評価
移動能力の評価法はさまざま存在するが,ここでは以下の3つについて記載する.
【1】6分間歩行テスト
自分のペースで6分間に歩くことができる最大距離を測定する