診療支援
治療

筋力増強訓練,ストレッチング
Muscle strengthening exercise, Stretching
緒方 直史
(帝京大学 教授(リハビリテーション医学講座))

1.筋力増強訓練

【概要】

 失われた機能の回復と再教育,あるいは機能障害の発生を予防するために行われる運動療法の1つであり,神経・筋に異常がない場合に行われる訓練と,神経・筋の異常により筋力低下がある場合に行われる訓練がある.

 筋収縮は関節運動の様式によって分類され,関節運動を伴わない等尺性収縮(isometric contraction),関節運動を伴い筋の張力は一定で収縮させる等張性収縮(isotonic contraction),関節運動を伴い角速度が一定である一方で張力が変動性である等運動性収縮(isokinetic contraction)があり,それぞれの分類に基づいた訓練が行われるが,これらの運動を適宜組み合わせることで,効率よく筋力強化を行うことができる.

 筋力増強訓練では,徒手筋力テスト(manual muscle testing;MMT)が4か5の場合には抵抗運動(resistive exercise)を行う.抵抗運動で広く用いられるDeLormeの漸増抵抗運動は,10回繰り返して全可動域に収縮できる最大負荷量〔10RM(repetition maximum)〕を決め,その1/10から10回ずつ10/10まで運動を行うことで筋力を強化する.この方法は等張性運動となる.また,等張性運動には求心性収縮と遠心性収縮があり,遠心性収縮を行うほうが筋力増強には効果的である.MMTが3の場合は抵抗運動ができないので,自動運動(active exercise)を行い,一方,MMTが1か2の場合は自動介助運動(active assistive exercise)を行う.MMTが0か1の場合は,他動運動(passive exercise)あるいは筋再教育(muscle reeducation)を行うのが原則となる.


実施上のポイント

 等尺性訓練は効率よく筋力増強が可能で,関節

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