診療支援
治療

上肢装具
Upper limb orthosis
森崎 裕
(東京大学医学部附属病院 講師)

1.上肢装具総論

 上肢装具の役割としては,治療のための安静,治療としての拘縮除去,機能的肢位の保持,リハビリテーションのサポートなどの役割がある.以下部位ごとに簡単ではあるが概説する.

【1】肩装具

 肩装具は肩関節の動きを制御するもので,関節の保持,固定を行う装具が多く,代表的には外転装具やアームスリング(腕吊り)がある.

 肩外転装具は腱板断裂,肩関節術後,腕神経叢麻痺などが適応となる.肩関節の外転位保持を目的とする.疾患や病態により,肩の外転角度はもちろん,上腕および前腕の位置が異なる.装着時のポイントとしては,腋窩や肘内側部の圧迫による神経障害,仙骨部や腸骨稜部の褥瘡形成などに注意する.

 アームスリング・上肢懸垂用肩関節装具は脳卒中片麻痺の肩関節亜脱臼などが適応となる.三角巾のようにシンプルなものから,上腕カフと前腕カフの2つのカフがスリングにより連結されたものなどがある.シンプルなもの

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