【概要】
装具は「上肢若しくは下肢の全部若しくは一部又は体幹の機能に障害のある者に装着して,当該機能を回復させ,若しくはその低下を抑制し,又は当該機能を補完するための器具器械をいう」と法的に定義されている.
装具療法の目的は,①固定・制動,②免荷・支持,③矯正,④喪失機能の補完・代償,⑤組織保護であり,実際には複数の目的を兼ねる.
装具は法制度により治療用装具と更生用装具に分けられる.また,目的や機能によっても分類され,歩行運動処置(J118-4)で使用されるロボットスーツや機能的電気刺激装置を内蔵した先進的な理学診療用器具も広義の治療用装具・装具療法に含まれる.
装具療法はすべての運動器疾患において適応とされる.
1.種類,適応など
【1】短下肢装具(ankle foot orthosis;AFO)
足継手による足部・足関節の運動制御(固定,制動)のほか,足関節角度の設定により歩行立脚期のロッカー機能(踵,足関節,前足部)を利用して膝関節の動きも制御できる.痙性・弛緩性麻痺の運動制御や支持・足部の保持,内反・尖足の矯正・支持,足関節不安定に対する固定・制動など,治療目的と障害の程度に応じて支持部(金属製支柱,プラスチック製)と足継手(固定,制限,制動,補助)を決定し処方する.下腿の免荷目的にはPTB(patellar tendon bearing,膝蓋腱支持式免荷)装具も有用である.
【2】長下肢装具(knee ankle foot orthosis;KAFO)
脳血管障害・脊髄損傷・ポリオ・ポリオ後症候群などの重度下肢麻痺の立位保持・歩行機能の補完,進行性筋ジストロフィーなどでの強い膝関節拘縮の矯正と立位保持目的などで処方される.下肢骨折の免荷目的では坐骨を支持部として処方する.大腿部は両側金属支柱が多いが,下腿部は目的や麻痺・変形の程度,生活様式,機能予後などにより両側金属