【概説】
頚椎・体幹装具は,脊柱運動の抑止・安定化や脊柱アライメントの維持・矯正が主な働きで,疼痛の軽減,活動性の向上が主な目的である.運動制限は3点支持の原理によるが,ほとんどは体表面を通じての作用である.コントロールしうる運動は前後屈・側屈が中心で,回旋制限は不十分であり,荷重の軽減効果はきわめて限定的である.作用する範囲(頚椎,頚胸椎,胸腰仙椎,腰仙椎)と材質(軟性,半硬性,硬性)により大別され,名称は,日本義肢装具学会用語集,厚生労働省告示,日本工業規格,ISOによる機能分類などが用いられている.
1.頚椎装具・頚胸椎装具(図10-4図)
【1】頚椎カラー
スポンジやプラスチックで,頚部屈曲・伸展をわずかに制限する.固定性は弱く,免荷効果もほとんどなく,安静目的で処方されることが多い.
【2】フィラデルフィアカラー
下顎部と後頭部を支える形状であり,頚椎カラーよりは運動抑止効果はやや強い