診療支援
治療

身体障害者診断書の記入の仕方
Diagnostic points for physically disabled person's certificate
芳賀 信彦
(国立障害者リハビリテーションセンター 自立支援局長〔埼玉県所沢市〕)

【概説】

 身体障害者手帳は,身体障害者福祉法に基づき,定められた障害程度に該当すると認定された者に対して交付されるもので,これにより各種の福祉サービスを受けることができる.手帳の交付対象となる障害は,視覚障害,聴覚または平衡機能の障害,肢体不自由などのカテゴリーに分かれる.身体障害者手帳の交付申請に要する診断書・意見書を作成するのは,身体障害者福祉法第15条に基づき指定された医師であり,整形外科医(主として標榜する診療科が整形外科)は肢体不自由を担当することができる.診断書・意見書に書かれた指定医の意見を参考に等級が判定され,都道府県知事が手帳を発行する.


1.診断書の記入法

 肢体不自由の診断書・意見書には,「肢体不自由用」と「脳原性運動機能障害用」の2種類がある.いずれにも,障害名,原因となった疾病・外傷名,その発生年月日,参考となる経過・現症,総合所見,身体障害者福祉法別表に掲げる障害に該当するか否かと等級についての参考意見を記入する欄がある.「障害名」には,左上下肢機能障害(左片麻痺),体幹機能障害,右下肢機能障害(股関節),左下腿切断,のように簡潔に記入する.「参考となる経過・現症」には「障害固定又は障害確定(推定)」を記入する欄があり,病状の進行やリハビリテーションによる回復がある程度見込めなくなった日を記入する.目安としては障害の発生から3~6か月後である.四肢切断術など障害の状況が変化しない場合には,手術日を記載してよい.「総合所見」には将来再認定に関する記載欄があり,成長や病状の進行などにより障害程度が変化すると考えられる場合は,「将来再認定 要」として,軽度化か重度化か,また再認定の時期を選択する.

 「脳原性運動機能障害用」は,乳幼児期以前に発現した非進行性の脳病変によってもたらされた姿勢および運動の異常,すなわち脳性麻痺などを判定するためのものであり,生活

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