トピックス　ロボットスーツHAL® | 医学書院

　HAL(Hybrid Assistive Limb)は，筑波大学システム情報系で開発された外骨格型の装着型動作支援ロボットである．ロボットスーツHALと通称され，皮膚表面の生体電位信号や体幹傾斜，関節角度，足圧などを各種センサーで検出しながら，関節の外側部に設置されたパワーユニット(アクチュエータ)で関節の動きを補助することで装着者の動作支援を行う．リハビリテーション医療・介護分野で用いられるロボットは，①リハ支援ロボット(運動練習を支援するロボットで主に病院や施設内で用いられる)，②生活支援ロボット(生活動作を支援するロボットで主に家庭内や生活場面で用いられる)の2つに大別され，HALは①に分類される．

　脳卒中による片麻痺，脊髄障害による四肢麻痺や対麻痺，神経筋疾患による下肢筋力低下のほか，脳性麻痺，腕神経叢損傷，人工膝関節置換術後など多様な疾患に対し，両脚用，単脚用，単関節用，腰用などのHALを症状や目的に応じて使い分ける．HALがこれらの疾患のリハビリテーションに有効であるとする論文はこれまで数多く発表されているが，なぜ効果があるのか，というメカニズムに関してはいまだ明らかになっていない．iBF(interactive Bio-Feedback)仮説とは「動作意思を反映した生体電位信号によって動作補助を行うロボットスーツHALを用いると，HALの介在により，HALとヒトの中枢系と末梢系の間で人体内外を経由してインタラクティブなバイオフィードバックが促され，高齢化に伴い増加してくる脳・神経・筋系の疾患患者の中枢系と末梢系の機能改善が促進される」というものであり，HALを学習装置としてとらえている．実際，HAL使用により中枢性麻痺では主動筋と拮抗筋の共収縮が緩和され，痙縮が軽減し，分離運動がしやすくなるが，その効果は永続的なものではないため，数週～数か月のサイクルで繰り