【概要】
MRIは外傷においては,大結節の不顕性骨折と外傷後の腱板の病態を描出するほか,骨折後の阻血性壊死の診断にも役立つ.加えて,腱板損傷や肩関節不安定症での軟部組織の評価にも威力を発揮する.
1.腱板損傷の診断
腱板損傷の部位を特定するうえで,非侵襲的なMRI検査は広く用いられ,腱板付着部の状況や筋腹部の性状を知ることができる.腱板損傷では腱板は肥厚して内部は不均一であり,FSE法を用いたPD(proton-density)強調像・脂肪抑制PD強調像では増強した信号像として検出される.完全断裂の診断は比較的容易で,T2強調像で滑液が貯留した非連続性の部位で表される.一方,1cm以下の小断裂や腱炎・腱症,不全断裂などを鑑別するのは一般に困難である.小断裂や不全断裂では,脂肪抑制T2強調像・脂肪抑制PD強調像で,一部連続性の途絶と関節液貯留が認められる.不全断裂には,関節面,滑液包面,腱内断