1.肩関節鏡の歴史
関節鏡は1959年に東京逓信病院の渡辺正毅先生が21号関節鏡という世界で初めて市販された関節鏡を開発したことに端を発する.1964年の東京オリンピックでカナダチームの帯同医師として来日したRW. Jackson先生が渡辺先生の元を訪れ指導を受け,彼がその技術を北米に持ち帰り,1970年以降膝関節を中心に北米で関節鏡が大きく普及した.その後,米国のSteve SnyderやJames Eschらが,1980年代の初めに細々と肩関節鏡を開始し,1983年に第1回San Diego Shoulder Symposiumを開催した.後にSteve BurkhartやBuddy Savoieなどもコアメンバーに加わり現在に至る.このシンポジウムでは毎年講演内容をビデオで販売していたが,筆者は1990年代後半からこのビデオで肩関節鏡を独学で学習した.
一方,わが国では1980年代の